日本社会福祉学会関東部会

高齢者介護施設における虐待予防に焦点を当てた研究方法と課題;調査研究のレビューおよび調査項目の分類を手がかりに


 松本望 (日本社会事業大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程)


 抄録

 本研究は高齢者介護施設における虐待(以下,施設内虐待)に関する調査研究のレビューを基に,先行研究の動向と研究成果,「予防」に焦点を当てた研究を行う上での方法と課題について明らかにすることを目的とした.

 研究方法はWeb of science,および医中誌Webを用いて施設内虐待に関する調査研究と,「予防」に関連した調査項目を抽出・分類した.
 その結果,調査研究自体が少なく,中でも実証研究が不足しており虐待の発生要因間の関連や予防につながる要因との関連など,虐待の発生・予防メカニズムを包括的に捉え,実行性・有効性の高い予防策について検討することが課題として明らかとなった.これらの課題を解決するための方法としては,1,「虐待」にのみ限定するのではなく「不適切なケア」にも焦点を当てること,2,研究で用いる定義の明示など,回答のしやすさと信頼性・妥当性の確保に向けた工夫が必要であることが明らかとなった.

Key Words:施設内虐待,予防,文献レビュー,高齢者介護施設

社会福祉学評論(13):17-29、2014


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