日本社会福祉学会関東部会

保育所保育士における「保護者支援」の実践知からの考察 ―保護者との「関係構築」に焦点を当てて―


 橘田康世 (東洋大学大学院社会福祉学専攻博士後期課程)


 抄録

 本研究は,保育士が行う保護者支援への実践知から,保育士が共有する保護者との関係構築に焦点を当て,コア・カテゴリーを見出すことを目的とした.保育所保育士10人にインタビュー調査を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析を行った.その結果,①現象を理解する視座,②人間尊重の視座,③信頼関係を構築する視座,の3 つのカテゴリーと①現象を意味づける,②思いの根に寄り添う,③気持ちを察知する,④ポジティブに転換する,⑤葛藤を認識する,⑥つながる支援を希求する,の6 つの概念が生成された.これらは絶えざる相互作用により連関し,<生態学的視座>というコア・カテゴリーが見出せた.さらに,様々な課題を抱える子どもや保護者と関係を構築し,有効な保護者支援を行うためには,ソーシャルワークを援用し,福祉専門職としての専門性を高めていく必要性が示唆された.

Key Words:保育士,保護者支援,関係構築,ソーシャルワーク,修正版グラウンデッド・ セオリー・アプローチ

社会福祉学評論(15):42-54、2015


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