日本社会福祉学会関東部会

介護現場における身体拘束廃止研修会事業の効果と課題─X県身体拘束廃止研修会事業への調査を手掛かりに─


 山口友佑 (東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科博士後期課程)


 抄録

 本研究では,介護施設における身体拘束廃止の取り組みの一つである身体拘束廃止研修会事業に焦点を当て,参加した職員の意識の変化,研修会への満足度を明らかにし,研修会の効果,評価,今後の課題について考察を行った.
 研究方法は,X県が実施している平成25年度身体拘束廃止研修会に参加している職員を対象に,研修会前後で質問紙調査を実施した.
 その結果,効果として研修会前後で緊急やむを得ないを含む身体拘束に対する意識の変化が見られたこと,評価として研修会に対する満足度が高いことが明らかになった.しかし,課題として研修会を通じても身体拘束に対する意識の変化が見られない職員や研修会に対して満足できていない職員の存在も明らかなった.今後これらの課題を解決するために,緊急やむを得ないを含む身体拘束を行わないためのスキルや参加する職員の現状に合った内容を提供してくことが必要であることが明らかになった.

Key Words:緊急やむを得ない,身体拘束,研修会,効果,評価

社会福祉学評論(17):1-15、2016


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