日本社会福祉学会関東部会

障害者の地域生活を支える 24 時間相談支援の生成プロセスに関する研究


 米澤 大輔 (新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命福祉学分野)


 抄録

障害者を対象とした24時間相談支援について,地域における援助の実践者を分析焦点者に設定し,インタビューにより収集した認識を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析した.24時間相談支援の生成過程に焦点化して分析した結果,〔地域生活支援の持つ価値の内在化〕した援助者によって,その価値に照準した利用者の〔ニーズを諦めさせない〕援助が展開され,既存の定型サービスでは対応できないニーズに対しては〔非定型サービスを可能にするシステム〕が構築されたこと.そして,制度設計に一定の権限を持つ者に対する〔制度構築を動機づける活動〕によって情報伝達され,試行を経て制度化されたことを確認した.さらに,24時間相談支援の生成プロセスの延長線上には,地域住民を「第三者」ではなく「双方向の援助関係」の当事者として組織化する試みを通じて,〔新たな「福祉コミュニティ」の形成〕が行われることを確認した.

Key Words:障害者,地域生活支援,24時間相談支援,地域福祉,修正版グラウン デッド・セオリー・アプローチ

社会福祉学評論(20):23-32、2019


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