日本社会福祉学会関東部会

不適切なかかわり等の経験をもつ職員の「職員視点」内面化のプロセス―障害者支援施設職員へのインタビューより―


 原田 聖子 ( 東洋大学大学院社会福祉学専攻(博士後期課程)/江戸川学園おおたかの森専門学校)


 抄録

 本研究の目的は,知的障害者を主な利用者とする障害者支援施設に勤務する職員が,なぜ不適切なかかわり等を行うようになっていったのか,またそのことが自らに及ぼした影響をどのように捉えているのかを明らかにすることである.6 名の職員のインタビュー・データをクラシック・グランデッド・セオリーで分析した.結果,職員は【不適切なかかわり等】を通して,【利用者の視点で考えない】を核とする『職員視点』の内面化のプロセスをたどることがわかった.それは,【「わからない」けど「やらなきゃいけない」】という思いから【不適切なかかわり等】を始めるが,【マヒしていく】ために【利用者の視点で考えない】ようになり,やがては【不適切の連鎖の担い手】になるという誤学習のプロセスである.また職員は,このプロセスをたどる間,【教えられない上位者】【ストレス循環の中にいる利用者】【不適切が連鎖する施設】と相互作用を行う.

Key Words:不適切なかかわり,施設内虐待,職員視点,不適切の連鎖,クラシック・グラウンデッド・セオリー

社会福祉学評論(21):66-76、2021


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