日本社会福祉学会関東部会

横浜市における全身性障害者グループホーム誕生までの軌跡―神奈川青い芝の「小さな施設」構想とのつながりからの考察―


 在原 理恵 (神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部社会福祉学科)


 抄録

 1984年,国の制度化に先駆け,まだ自治体制度もない状況下,横浜市で全身性障害者である脳性マヒ者が共同生活する実践が始まった.それは,1970 年代の神奈川青い芝の活動で中心的役割を担った一人である矢田龍司という脳性マヒ者が,1979 年に始めた「ふれあいの会」の活動から生まれたものであった.ふれあいの会は,脳性マヒ者等の幼い頃からの全身性障害者が地域社会で主体的に生きるための活動を行った当事者団体であった.本研究は,「ふれあいの会」の初期の取り組みからグループホーム開始までを記述し,神奈川青い芝が主張した「小さな施設」構想との繋がりの観点からその実践の意義を考察した.その取り組みの特徴は,全身性障害者が福祉の対象として受身の存在になることを拒否し,仲間や他者との関わりを通して生きる目的を持ち,生活主体となる日々の営みを重視する実践であった.

Key Words:グループホーム,ふれあいの会,矢田龍司,神奈川青い芝,小さな施設

社会福祉学評論(21):77-90、2021


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