日本社会福祉学会関東部会

精神科病院と地域事業所の実践を統合した 精神障害者地域移行・地域定着支援プログラム モデル形成に向けた「効果的援助要素」の検討 ――グッドプラクティス事例の分析から――


 高野 悟史,大島 巌,贄川 信幸,中越 章乃
 (医療法人財団青溪会こまぎの相談支援センター,東北福祉大学総合福祉学部,日本社会事業大学社会福祉学部,東海大学健康学部健康マネジメント学科)


 抄録

 本研究は,日本の精神科長期入院の課題に対して開発された,地域の支援機関が中心 となって行う「退院促進支援プログラム」を,精神科病院の取り組みも盛り込み,協働して取 り組むプログラムモデルの効果的援助要素を帰納的に抽出することを目的とした.地域移行 支援の個別給付化以前から地域事業所と協働していた効果的な実践をグッドプラクティスと して選定した全国 13 の精神科病院で退院支援にかかわる担当者 32 名へ半構造化面接により データを得て,内容分析を行った.その結果,従来の退院促進支援プログラムに,6 つの効果 的援助要素が新しく創設され,10 の効果的援助要素で下位要素が追記され,6 つの効果的援 助要素で精神科病院も行う活動として下位要素が統合された.本結果は,「精神障害にも対応 した包括的ケアシステム」が目指す,関係者等が協働した重層的な実践に対して具体的な示唆 をもたらす可能性を示した.

Key Words:精神障害者,長期入院,地域移行,グッドプラクティス,効果的援助要素

社会福祉学評論(26):1-16、2025


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