日本社会福祉学会関東部会

在宅ケアにおける医療と介護関連職のチームワーク認識と協働の問題―在宅療養支援診療所と連携するスタッフにおける働き方の考察から―


 酒田和久 (東洋大学大学院福祉社会デザイン研究科社会福祉学専攻博士後期課程)


 抄録

 本研究の目的は,在宅での多職種連携としての医療と介護職の協働の問題の明確化である.研究方法は,在宅療養支援診療所の医師,この診療所に連携する訪問看護師・ケアマネジャー・ヘルパーへの半構造化したインタビュー調査を行い,逐語録を作成し,コーディングを行い,継続的比較によるカテゴリーの生成と分析を行う質的研究法を用いている.
 質的研究の結果,ケアそのものが平等で有用な多職種によるチームの形成により,よいケアができるという肯定的なチームワークを受け入れるオープンなチームワーク認識がある一方,否定的なチームワークを受け入れないクローズなチームワークの認識を生じている.この2つの認識が併存し,協働のケアをおこなっている関係から,チームの名称は,少数の例を除き,対外的には使用されないアンビバレントな関係性が認められた.この要因として,医療保険と介護保険等の複数の制度による働き方から生じていると考えられた.

Key Words:在宅ケア,チーム,チームワーク,多職種連携

社会福祉学評論(16):28-41、2016


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