日本社会福祉学会関東部会

「知的障害者の性的表現・行動に対する態度尺度」の構成要素―スコーピングレビューに基づく尺度項目の検討―


 延原 稚枝・門下 祐子・武子 愛・酒井 理香・名川 勝 (筑波大学大学院人間総合科学学術院人間総合科学研究群 博士後期)


 抄録

 本研究は,「知的障害者に対する性的態度尺度(以下,尺度)」の構成要素を明らかにしたうえで,日本における知的障害者に関する性的態度尺度調査での使用可能性を検討することを目的とした.研究方法はスコーピングレビューを採用し,Webof Science,CINALE および CiNii を用いて尺度を抽出した.尺度の項目は質的コーディング分析を行った.その結果,性の健康,性欲,性行動(1 人・性別断定しない・同性・異性),ライフイベント,性教育,生活環境,権利の尊重,優生思想,セクシュアリティに関する社会の態度,セクシュアリティの概念の 13 カテゴリが抽出された.カテゴリの横断的検討から,尺度は回答者が知的障害者も性的人権を享有する主体と認識しているかを検討する構成であることが明らかになった.また「生殖」に関連する項目が極めて多く,尺度構成者および研究者の「生殖と性行為に関する規範」に対する関心の高さがうかがえた.

Key Words:知的障害,性的表現,態度尺度,性規範,人権

社会福祉学評論(23):16-30、2022


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